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た行

退却神経症(たいきゃくしんけいしょう)

退却神経症は精神科医の笠原嘉博士によって提唱された概念。適応障害の1つとも言えます。博士はウオルーターズが定義した学生アパシー(選択的無気力)の研究から退却神経症を考えました。「『本業』とでもいうべき生活部分がある。サラリーマンならサラリーマンの、大学生には大学生の、主婦には主婦の本業がある。そこからの選択的退却である。そのことだけに無気力、無関心になる。そういう神経症(ノイローゼ)である」と定義した。

退職(たいしょく)

勤めている職をやめること。現職をしりぞくこと。

退職勧奨(たいしょくかんしょう)

会社が労働者に対し退職を勧めること。退職金の割増しなどの優遇措置を含んだ早期退職優遇制度などもこれに含まれる。退職勧奨がなされた場合、労働者は必ず会社を退職しなければならなくなるわけではなく、退職勧奨に応じるかどうかは、あくまでも労働者の任意の判断に委ねられる。

タイプA(たいぷえー)

タイプAは「タイプA行動パターン」ともいい、競争心が強く、仕事に熱中し、攻撃的で,イライラし易く、他人とよく対立するといった行動様式。タイプAの人は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に罹る率が高く、頭痛,消化器症状、睡眠障害などの訴えも多いという。タイプAの人は怒りを感じやすく、血圧や心拍数が増加することが多く、心臓などに負担がかかりやすいためと考えられている。

タフネス度(たふねすど)

メンタルタフネス度、メンタフ度ともいう。ストレスに対する耐性を表す。ストレスから受ける影響の大きさは、人によってかなり個人差があり、同じストレスを受けても大きなダメージを受けてしまう人とそうでない人がいる。その度合いのこと。

試し出勤(ためししゅっきん)

病気のため長期にわたって休業した労働者が職場復帰をする際に、正式な職場復帰に先がけて、出勤あるいはそれに近い取組みを行ってみる制度をさする。「リハビリ出勤」などと称されることもある。労働者本人にとっては、職場復帰に対する不安を軽減できるという効果が期待でき、職場の側にも労働者が勤務可能かどうかをある程度見極められるという利点がある。

断酒会(だんしゅかい)

断酒会とは、アルコール依存症にかかった人たちが集まり、お互いに励まし合い酒害からの回復と人としての成長を目指す集団。また、同じ酒害者としての立場から酒害問題に悩んでいる人への援助活動も行っている。体験談を語る場である「例会」への出席と組織活動である様々なプログラムに参加することで断酒を続ける。

地域産業保健センター(ちいきさんぎょうほけんせんたー)

労働者数50人未満の小規模事業者やそこで働く方を対象として、労働安全衛生法で定められた保健指導などの以下の産業保健サービスを無料で提供している場所。 ①長時間労働者への医師による面接指導の相談 ②健康相談窓口の開設 ③個別訪問による産業保健指導の実施 ④産業保健情報の提供

注意欠陥性多動障害(ちゅういけっかんせいたどうしょうがい)

DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル)によって初めて注意欠陥多動性症候群という診断名が使われることになった。DSM-Ⅳ-TRによれば1.不注意、2.多動性―衝動性のうちどちらかが、さらには症状のうち6つ以上がすくなくとも6か月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないものをいう。対象者に特別支援教育が行われるようになってきた。

中途覚醒(ちゅうとかくせい)

夜中に何回も目覚め、再入眠が困難な場合がしばしばある。一般的に睡眠は眠りについて最初の3時間くらいがもっとも深く、その後、明け方に向かって浅くなっていきます。ストレスなどで脳の覚醒水準が高くなると、その人の睡眠が全体として浅くなり、睡眠最初の深い眠りの時期にはなんとか眠れても、入眠後3時間くらいの睡眠が浅くなる時期になると目が覚めてしまうもの。

通勤訓練(つうきんくんれん)

通勤訓練は、メンタルヘルス不調により休業した労働者が職場復帰に向けて一般的に行う訓練の一つ。自宅から職場の近くまで通常の出勤時間、出勤経路で出勤をシミュレーションする。通勤に必要な体力の確認や生活リズムを整えるといった効果が期待できる。

通勤ストレス(つうきんすとれす)

通勤ストレスという特別な用語はないが、ここでは一応「通勤に伴う様々なストレス要因」と定義する。具体的には、①寒暑、風雨などの物理的障害、②歩行等による肉体的疲労、③運転等(事故防止の注意等)による精神的疲労、④混み合う乗り物の中の圧迫感や周囲との軋轢、⑤家庭という保護された空間から離れる不安・恐怖、などが想定される。

DSM-IV(でぃえすえむ-ふぉー)

「精神障害の診断と統計の手引きDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM)」として、米国精神医学会American Psychiatric Association(APA)により定められた診断指針。米国だけではなく、全世界の精神科医療で幅広く使用されている。現在は第四版修正版 (DSM-IV-TR) となっており、2013年5月に第五版 (DSM-V) の発表が予定されている。

デイケア(でいけあ)

施設への通所によって行う治療訓練。精神障害などで治療により病状が改善し安定状態となると、日常生活を行いながら社会復帰や職場復帰を目標に行う、計画的段階的な訓練。再発を防ぎ、必要とする対人関係能力や社会適応能力、職業能力などの改善を目指す。

適応障害(てきおうしょうがい)

ストレスと個人要因の相対的関係で、主として職場や学校などの「場」における適応が上手くいかなくなり臨床症状を呈した状態。ICD-10によれば、強度のストレスがあるのが診断の前提になっており、個人的素質あるいは脆弱性は適応障害の発症の危険性と症状の形成においてより大きな役割を演じているとされている。症状は多彩であり、抑うつ気分、不安、心配(あるいはこれらの混合)などがある。DSM-4にも診断基準がある。

適正配置(てきせいはいち)

職場(作業環境や作業内容)と労働者(技能や健康状態)の最適な組み合わせを図ることをいう。事業者は、健康障害防止の観点から、健康診断や長時間労働者に行う面接指導の結果に基づいて、医師(産業医等)から意見を聴き、就業場所の変更、作業の転換等の必要な措置を講じることが求められている。

テクノストレス症候群(てくのすとれすしょうこうぐん)

1984年にアメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロードが名づけた。『テクノ不安症』と『テクノ依存症』に分けられる。『テクノ不安症』は、中高年に多く見られ、コンピューターへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、高じるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもある。『テクノ依存症』は、OA環境に没頭しパソコン、インターネットなどにのめり込み、部屋に閉じこもって対人関係を嫌い、実生活にも支障をきたすものを指す。精神医学的には多くは適応障害の範疇に属するが高じると不安障害、気分障害にもなり得る。

テクノロジー ハラスメント(てくのろじー はらすめんと)

テクハラともいう。専門分野(主にIT系)に長けた者が反対に知識のない者に対し不当に扱うことの総称。一般的には専門用語で話したり、意図的に回りくどく難しい内容で説明することを指す。IT系の専門用語が極端に難しく知れ渡っていない為IT系に関する被害が多いが、相手にとって分からない用語を意図的に並べて不快な思いをさせればこれに該当する。

てんかん(てんかん)

悩が反復的に電気的に異常興奮するためにてんかん発作が出現する疾患。発作時に脳波を記録すると、てんかん性突発波が記録されることが多いとされている。てんかんの出現頻度は一般人口のおよそ0.3%で、基本的には小児科疾患で,多くが小児期から思春期にかけて発症する。てんかんは臨床発作型を基礎に,全般てんかんと部分てんかんに分けられる。全般てんかんは全般発作をもつもので,部分てんかんは部分発作をもつてんかんのことを指す。また、てんかんの基礎となる脳障害が見出されない場合を特発性全般てんかんといい,基礎となる外傷等の脳障害が見出されるものを続発性全般てんかんという。さまざまな抗てんかん薬の定期的な服用によって、てんかん発作はコントロールされることが多くなり、日常生活や社会生活に支障が出ることは多くはない。

統合失調症(とうごうしっちょうしょう)

かつて本邦では、英語ではschizophrenia、ドイツ語ではSchizophrenieという障害名を,精神分裂病と訳してきた。しかし,この病名は、患者に対する社会的な偏見や差別を生み出し,また患者や家族もその病名に不快さを感じるということもあって,2002年8月に,統合失調症という病名に変更することが決められた。厚生労働省もすぐにこの決定に対応し,行政レベルでも本病名の使用が公認された。統合失調症の症状としては、幻覚、妄想、興奮、意欲障害、思考障害、睡眠障害等が認められる。しかし、最近では、副作用の少ない向精神薬の使用が可能となり、日常生活や社会的生活に支障が出ることは少なくなっている。また、リハビリテーション等によって社会参加が可能になる場合も多くなり、障害者雇用促進法でも一定の配慮がなされ、就労する機会も多くなっている。

逃避型抑うつ(とうひがたよくううつ)

うつ病により、職場不適応が生じると、些細な失敗を恐れて「ひきこもり」が生じることがある。しかし旅行に行く、仕事以外の社会活動には活発、というような現実問題から逃避しているかのような状態をさする。いわゆる「現代型うつ病」のひとつの類型と考えられている。

Total Health Promotion Plan (THP)(とーたる へるす ぷろもーしょん ぷらん(てぃーえっちぴー))

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づくすべての働く人を対象とした心とからだの健康づくり運動のことをいう。健康測定を行い、その結果に基づいた運動指導、保健指導、栄養指導、メンタルヘルスケアを行うことが基本。

ドクター ハラスメント(どくたー はらすめんと)

ドクハラともいう。一般的に医師を含めた医療従事者が患者に対して不当な態度や言動を行なうこと。悪意の有無に関わらず患者が不快と感じれば成立することがある。閉鎖的な空間なためパワー・ハラスメントに似た状況になりやすく、患者側が意見を出しにくい形に追い込み無力化させやすい。多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させる。

ドメスティック・バイオレンス(どめすてぃっく・ばいおれんす)

家庭内で行われる家族間での暴力行為をさする。例示すと、親による子どもへの虐待,配偶者による暴力,子どもによる親への暴力,老人への虐待などがよく知られている。子供に対する暴力は、児童相談所で対応され、配偶者間等のいわゆるドメスティク・バイオレンスは女性相談センター等で相談される。また、被害者やその事実を知ったものが通報し、警察等の公権力の支援を受けることも可能で、加害者からの保護が必要な場合には接近禁止等の処分が下されることがある。また、最近では、離婚しても配偶者に対する対処と同様に扱われるようになった。精神科的対処としては被害者本人に対する精神療法と必要であれば薬物療法によりますが、加害者に対する心理的指導も必要であることも理解されるようになり、場合によっては家族療法的対応が行われる場合もある。

トラウマ(心的外傷)(とらうま(しんてきがいしょう))

個人が一般の生活では経験しないような死に直面するような心理的に強い負荷となる出来事のことを指す。この出来事には、戦争や交通事故等による生命の危険、他者からの個人の尊厳の強い毀損等がある。心的外傷は突然の出来事によっても、慢性的に反復的に加えられる場合にも発生する。突然の出来事によって心的外傷が起こった場合には、急性ストレス反応として、感情麻痺、関心の喪失、現実感の喪失、解離性健忘などが起こりえますが、多くの場合、1か月以内に症状は消失するといわれている。心的外傷の後遺症として外傷後ストレス障害がみられることがあり、フラッシュバック、反復的な苦痛な夢、再体験、睡眠障害等の過覚醒、回避行動などが多くの場合では、出来事から半年以内に起こってくるとされている。治療としては、精神療法と薬物治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬や睡眠導入剤の投与などがあり、多くの場合回復可能が、さまざまな要因により慢性化することもある。

努力義務(どりょくぎむ)

法律上、義務ではないため違反しても罰則の対象にはならないが、当然そうすべきでありそのように努めなければならないものとして規定されている物事を指す語。努力すべき内容。

努力-報酬不均衡モデル(どりょく-ほうしゅうふきんこうもでる)

ドイツの社会学者Siegristらによって提唱された職業生活における「努力」と「報酬」の二つの軸をもとに慢性的なストレス状況を把握する理論的モデルのことをいう。「職業生活において費やす努力と,そこから得られるべき,もしくは得られることが期待される報酬がつりあわない」(高努力 / 低報酬)の状態をストレスフルと定義している。