企業の現場に求められる休職者の職場復帰支援について

企業の現場に求められる休職者の職場復帰支援について

ジャンル:労務管理

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厚生労働省によれば、メンタルヘルスの問題を抱え、1ヶ月以上の休業を余儀なくされる労働者がいる事業場の数は7.6%に上ります。休職者が職場復帰を希望する場合には、職場復帰プログラムの策定などに基づく、システマティックな支援が欠かせません。求職者のスムーズな職場復帰を促すために、また疾患の再発を防止するためにも、上司・同僚に求められる職場復帰支援のあり方についてご紹介します。

休職者の職場復帰支援のおおまかな流れ

休職している方の職場復帰支援は、診断書が出た時点から始まっており、復帰した後を含め、段階的・継続的に行われなくてはなりません。まずは「休業開始および休業中のケア」。労働者からの診断書の提出を受け、療養に専念できるよう促しつつ、復帰支援の手順についての説明を行います。

まずは労働者から職場復帰の意思表示を受け、「主治医による復帰の可能性の診断」が行われます。事業者としては、診断書の提出を労働者に対して求めることになります。次に「職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成」の段階です。労働者や関係者から情報収集を行い、事業場の産業保健スタッフが中心となって職場復帰の可否を判断します。復帰が可能となれば、職場復帰支援プランを作成します。続けて、「最終的な職場復帰の決定」がなされます。産業医による意見書をもとに関係者間で連絡を取りながら手続きを進めます。最後に「職場復帰後のフォローアップ」です。労働者の経過を観察しながら、随時プランに変更を加える必要があります。


職場復帰前に求められる対応とは?

休業中は、労働者の経済的不安や将来への不安を軽減するために、手当金制度などについても情報提供を行います。連絡の頻度は1、2ヶ月に1度が目安です。また、主治医が職場復帰可能と判断したなら、現状を把握しつつ、勤務時間・職場環境を調整する必要性について、産業保健スタッフらとともに情報収集・評価を行いながら、復帰プランを作成します。産業保健スタッフがいない事業場では、人事労務管理担当者が、主治医や産業保健推進センター・地域産業保健センターと連携をとって進めます。


職場復帰を判断するポイントとは?

回復の過程では、調子が良い日とそうでない日とで、大きな波がある時期があります。職場復帰が検討できるのは、調子がよくない日であっても、出社が可能であると思える状態が維持できるようになった頃でしょう。また、復職の際に最低限求められること、例えば、日中、外で活動できる程度の体力が備わっていること、混雑した電車にたえられること、ある程度のコミュニケーションが可能であることなども、復職を決めるポイントになります。いずれにしても、焦ることなく冷静に、総合的に判断することが求められます。


職場復帰後の対応について

休職者が職場復帰される際、上司・同僚の方は、特別な態度でもって接するのではなく、自然に対応することが望ましいでしょう。病状や体調についていろいろと詮索するように質問することは控え、簡単な挨拶を交わしたり、復帰を歓迎するような言葉をかけたりするよう心がけるのがよいでしょう。

また、状況によって勤務時間を短縮したり、量的に業務を軽減したりと、負担を調整し、通常の状態には段階的に戻していくことが求められます。上司や同僚らには主治医による勤務条の配慮すべき点などを伝え、求職者がよりスムーズに復帰できるような環境づくりが心がけられなくてはなりません。