義務化されたストレスチェックを実施しない場合の罰則はあるの?
ジャンル:ストレスチェック
義務化されたストレスチェックを実施しない場合の罰則はあるの?
ジャンル:ストレスチェック
■義務化されたが、現在罰則規定はなし。
2015年12月より、ストレスチェック制度が義務化されました。そのため、従業員50人以上の会社においては必ずストレスチェックを実施しなければなりません。しかし現時点では、会社がストレスチェックを実施しなかった場合に、罰則が課されることはまだありません。ストレスチェックの義務化を明記している「労働安全衛生法」にも、その罰則についての記載はありません。それでは、実施しなくても問題にはならないのでしょうか。
■安全配慮義務違反となることもありえる。
もし、従業員が50人以上いるのに、ストレスチェックを行っていない会社において労働者が精神疾患などにかかった場合は、「安全配慮義務違反」となる可能性があります。
この「安全配慮義務」については、2007年に制定された「労働契約法」の第5条に、「労働者の安全への配慮」として「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と記載されています。そのため、もし、この「安全配慮義務」に違反した場合、会社は多額の賠償金を支払うことになる可能性があります。なお、従業員50人未満の会社にとっては、ストレスチェック制度は努力義務となっています。
■将来的には罰則規程も考えられる。
ストレスチェックを行った場合、従業員50人以上の会社は、その後、労働基準監督署への報告義務があります。労働基準監督署への報告は、「労働安全衛生法」第100条に基づいています。報告義務がある以上、罰則もあります。罰則規定は「労働安全衛生法」第120条に記載されています。ストレスチェック制度と同じように、会社に義務づける法制度には、これまでも、当初は義務化のみであり、その後、罰則規程ができる例があります。
特に、ストレスチェックの導入が進まないなど、法制度の実施後の取組み状況によっては、罰則規定ができる可能性もあると考えられます。
■まとめ(毎年の実施が義務のため、早く準備し、開始することが、今後も楽に継続できる近道)
ストレスチェックは、2015年12月1日~2016年11月30日までが最初の1年となりますが、毎年実施することが義務化されています。そのため、できるだけ早く準備して、まずは開始することが肝要です。ストレスチェックをはじめとするさまざまな法制度への対応は、なるべく早く行うことが、会社にとっては得策です。ストレスチェック制度に正しく取り組み、メンタルヘルスのケアをきちんと行っていきたいものです。