自社のメンタルヘルス対策は実態に合っていますか?不調となる主な要因は?

自社のメンタルヘルス対策は実態に合っていますか?不調となる主な要因は?

ジャンル:労務管理

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社員のメンタルヘルス対策として、多くの企業が残業時間の削減に取り組んでいます。しかし、日本経営協会が実施した「組織のストレスマネジメント実態調査」をみると、メンタルヘルス不調を生む要因として「職場の人間関係」を挙げる人が多く、6割を超えていました。企業では残業時間の削減とともに、ストレスマネジメントを優先できるような職場の風土づくりも重要です。実態調査で明らかになった点をご紹介します。

5年前より悪化?企業におけるメンタルヘルスの現状

「組織のストレスマネジメント実態調査」は全国の企業(団体)を対象にメンタルヘルスの現状や職場環境の改善などについて、平成28年12月~29年1月にかけて調査したものです。メンタルヘルスの現状としては、5年前に比べて悪化の傾向にありました。

メンタルヘルス不調により長期休業した社員や退職者が「増加」したと答えた企業は、それぞれ26.0%、17.8%でした。一方、「減少」したという企業は長期休業者は9.3%、退職者は7.3%で、いずれも「増加」の割合が上回っています。また、ワーク・ライフ・バランスが悪化した企業、あるいは人員の多様化が進んだと答えた企業はメンタルヘルスの状況が悪化していることもわかりました。


メンタルヘルス対策でもっとも多いのは「残業時間の削減」

メンタルヘルス不調を予防するための取り組みとしては「超過勤務(残業)時間の削減」がもっとも多く、69.4%(複数回答可)を占めていました。次に多かったのは「従業員のハラスメントに対する知識と意識の向上」で44.2%、3位には35.5%の「ハラスメント防止・対策の強化」が続いています。

長時間労働は睡眠時間の減少や疲労の蓄積などをもたらし、メンタルヘルス不調のリスクを高くする要因です。また、平成29年4月、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は政府の「働き方改革実行計画」で示された時間外労働の上限規制などについて法改正の審議を始めました。企業として適切な取り組みとするために、残業時間の削減に関する今後の動きには注意を払いましょう。


「長時間労働」は6位!実態調査で判明した不調となる主な要因

メンタルヘルス不調者が生まれる主な要因を調べたところ、次のような要因が上位を占めていました。

・職場の人間関係(64.3%)
・本人の性格  (43.7%)
・上司との相性 (40.0%)

多くの企業が是正に取り組んでいる「長時間労働」は23.9%(複数回答可)で、実態調査における順位は6位でした。このように不調の主な要因として「職場の人間関係」や「上司との相性」などが上位を占めることを考えると、企業は労働時間以外の問題にも積極的に取り組む必要があるでしょう。具体的にはどのような取り組みが必要なのでしょうか。


ストレスマネジメントの充実に向けて!企業に必要な取り組み

実態調査によると、ストレスマネジメント実施上の問題としてもっとも多かったのは「ストレスマネジメントについて専門知識やスキルを持つ人材がいない」で、39.5%(複数回答可)でした。2位は、29.9%の「マネジャーが多忙で部下のストレスマネジメントにまで手が回らない」が続いています。

ストレスマネジメントを推進し、充実させるには上司のストレスマネジメント能力を高めるとともに、ストレスマネジメントを優先させる職場全体の雰囲気も必要になります。人材育成も、職場の風土づくりも結果を出すまでに時間がかかるので、後回しにせず具体的な取り組みを始めてください。