産業医の8割が実感。ストレスチェック施行2年で見えてきた課題

産業医の8割が実感。ストレスチェック施行2年で見えてきた課題

ジャンル:ストレスチェック

産業医の8割が実感。ストレスチェック施行2年で見えてきた課題

ジャンル:ストレスチェック

Facebook Twitter

産業医500人を対象にアンケート調査が行われた結果、メンタルヘルス不調や過労の対応に自信がないとの回答が実に約8割にものぼりました。その理由として、1社あたりの勤務時間が不足していること、精神科の分野について産業医が専門性を欠くこと、従業員のメンタル不調に早い段階から介入するのが難しいことが挙げられています。ストレスチェックの施行から2年をむかえた現時点での課題について考えます。

メンタルヘルス不調・過労対応が不十分と産業医の8割が回答

オンライン健康相談サービスを運営する株式会社Mediplatは、実際に事業場で従事する産業医500人を対象にアンケート調査を実施。それによると、産業医資格があり、実際に産業医として勤務する医師のうちおよそ8割がメンタルヘルス不調・過労対応が十分でないと感じていることがわかりました。ストレスチェック実施から2年が経過し、産業医の側から見た課題が浮き彫りとなった言えるでしょう。


勤務時間が短く、産業医と従業員との面談が不十分

産業医の7割が非常勤だと言われます。そのため、産業医の1社あたりの1ヶ月の勤務時間は平均すると2時間にも満たないケースが大部分を占めることがわかりました。しかも、業務内容は事業場内を巡視したり、健康診断の結果を確認するといったことが大半。ストレスチェックをもとに希望を出した高ストレス者や長時間労働者など、対応が求められる従業員との面談にはあまり時間を割けていないのが現状のようです。


相談件数が増加する反面、専門性に不足を感じる産業医も

産業医のおよそ半数が、メンタルヘルス不調・過労に関する相談件数だけでなく、休職者・退職者が増えていると感じています。ところが、それとは対照的に、十分な役割を果たせていない、果たせているかどうかわからないと答えた産業医の割合は、8割近くに達しています。その理由として、専門外である精神科分野の知識が不十分であるため、必ずしも不調者に対して適切な対応ができないとする声もあるようです。


現状ではメンタル不調への早い段階での介入が困難

また、従業員のメンタル不調や過労に産業医が気づくきっかけとして最も多いのが「上長など周囲からのアラート」。産業医の勤務時間が少ないことや本人からの訴えが少なく、早い段階で不調者の存在を認知しづらい現状があることもわかってきました。およそ8割もの産業医が不調者に対してもっと早く介入すべきだと回答しています。精神疾患を根治するためには早期発見が鍵となることを考えると、この数字は決して軽視することができません。

ストレスチェックがこうした問題を浮き彫りにする契機となっている反面、ストレスチェックの効果を実感できていないとする産業医は9割にも達しています。より生産性の高い優良な労働環境を実現するには、勤務時間や専門性に不足を感じ、従業員との間に精神的・物理的距離がある産業医をサポートできるような体制の整備が急務と言えるでしょう。