どうやって基準を決める?高ストレス者の選定方法について

どうやって基準を決める?高ストレス者の選定方法について

ジャンル:ストレスチェック

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厚生労働省によるストレスチェック制度実施マニュアルにおいては、事業者が高ストレス者を選定するための基準や評価方法を決定すると定められています。そこで今回は、厚生労働省が公開している「数値基準に基づいて『高ストレス者』を選定する方法」についてご紹介します。各事業場において独自の項目を選定する上での基本となる「職業性ストレス簡易調査票」を使用するものです。ぜひ参考にしてみてください。

高ストレス者を適切に選定するために

高ストレス者としてまず選定対象者となるのは、「心身のストレス反応」の評価点数が高い労働者です。心身において自覚症状があり、即時的な対応が必要な労働者が含まれる可能性が高いためです。ただし「心身のストレス反応」だけを指標としてしまうと、自覚症状がないというだけで、過度の仕事量が負担となっている労働者や、周囲のサポートを欠いた労働者などを見落としてしまう可能性があります。そのため、「心身のストレス反応」の評価点数が一定以上であれば、「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」の評価点数が非常に高い労働者についても、高ストレス者としてみなされる必要があるのです。

以下で紹介する「職業性ストレス簡易調査票」においては、A・B・Cの質問がそれぞれ「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」に該当します。


高ストレス者評価基準の方法1:合計点数を使う方法について

高ストレス者を選定するには「合計点数を使う方法」「素点換算表を使う方法」の二つの方法があります。まずは「合計点数を使う方法」からご紹介します。労働者が記入・入力したストレスチェック調査票から、A・B・Cごとに合計点数を算出します。ストレスチェック制度実施マニュアルでは、以下のいずれかに該当すれば、高ストレス者とみなされます。

1. B(計29項目)の合計点数が77点以上である
2. B(計29項目)の合計点数が63点以上であり、なおかつA(計17項目)およびC(計9項目)の合計点数が76点以上である

ここで注意すべきは、回答の点数が低いほどストレスが高いと評価される質問があることです。該当する質問については、「1→4・2→3・3→2・4→1]という具合に、点数を置き換える必要があります。


高ストレス者評価基準の方法2:素点換算表を使う方法について

高ストレス者を選定するもう一つの方法「素点換算表を使う方法」について解説します。ストレスチェック調査票の点数を、ストレスチェック制度実施マニュアルの40ページに掲載されている「素点換算表」に当てはめ、評価点を算出します。具体的には、質問項目番号1〜3が「心理的な仕事の負担(量)」の尺度に該当します。それぞれの尺度ごとに、計算方法に従って評価点を算出していきます。ストレスチェック制度実施マニュアルでは、以下のいずれかに該当すれば、高ストレス者とみなされます。

1. Bの合計点数が12点以下である
2. Bの合計点数が17点以下であり、なおかつAおよびCの合計点数が26点以上である

素点換算表を使う方法は、計算法が複雑であるというデメリットがあるものの、それぞれの尺度ごとに労働者のストレスの度合いを把握できるメリットがあります。「職業性ストレス簡易調査票」および評価基準はインターネット上で公開されています。そのため、高ストレス者と判定され、職場で不利益を被ることがないよう、被験者となる労働者が意図的に回答を操作することも考えられます。

各職場環境に応じて項目作りを工夫したり、作り替えたりすることで、そうした事態を避けることができます。ぜひ高ストレス者を正しく選定し、職場の労働環境の改善に役立ててください。