10~20代で「心の病」が急増?メンタルヘルス調査で見えた職場の実態

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ジャンル:その他

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メンタルヘルスに関する実態や企業の取組みについて「メンタル・ヘルス研究所」が行った2017年の調査によると、「心の病が最も多い年齢層]として10~20代を挙げた企業は27.9%。前回(2014年)の調査に比べ、10ポイントほど増加しました。また、調査では、組織風土と「心の病」の増減傾向などから従業員のストレスにつながる要因を分析しています。メンタルヘルス調査を通して職場の実態をご紹介しましょう。

年齢層に変化が!「心の病」は30代中心から20代・40代にも

公益財団法人日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」が全国の上場企業を対象に行ったメンタルヘルス調査によると、「心の病」は近年、10~20代にも広がっていることがわかりました。

「心の病が最も多い年齢層」は、2006年の調査では30代が61.0%を占め、10~20代(11.5%)や40代(19.3%)とは大きな開きがありました。ところが、2012年になると30代と40代がいずれも35%ほどで拮抗し、10~20代は18.8%まで増加。さらに、2017年の調査では10~20代が27.9%に増え、50代を除くと「心の病」は従来のような世代による著しい差はみられなくなりました。

「心の病が最も多い年齢層」グラフ


ストレスチェック制度の課題は「集団分析結果の活かし方」

メンタルヘルス調査によると、各企業においてストレスチェックを受けた社員の割合(受検率)は90.0%。厚生労働省が2017年7月に発表したストレスチェックの受検率(78.0%)に比べると、12ポイントも高い率でした。

また、ストレスチェックの課題として各企業が挙げたのは、次のようなものです。

・集団分析結果の活かし方         58.4%(複数回答)
・高ストレス者への面接以外のフォロー   39.8%
・医師面接勧奨者が面接を希望しないこと  30.3%

半数以上の企業が課題に挙げた「集団分析結果」の主な活用方法は、実施事務局(人事部や総務部)で共有(86.8%)、衛生委員会での報告(67.2%)、役員会議等で経営トップに報告(57.4%)などでした。2017年のメンタルヘルス調査を見る限り、集団分析結果の活用は情報共有や報告といった段階に留まっているようです。しかも、職場改善を実践するうえで重要な役割が期待される所属長に対し、集団分析の結果を伝えている企業は45.8%でした。


仕事に要求される「質の高まり」や「変化への適応」がストレスに?

最近3年間において「心の病」が増えたかどうかをみると、横ばい(そう思う/ややそう思う)という企業が59.7%を占め、増加傾向は24.4%、減少傾向と答えた企業は10.4%でした。このうち、「心の病」が増加傾向にある企業では、以下のような状況が起こりがちのようです。

・求められる仕事の質が高くなってきている
・職場で今まで経験したことがないような課題が増加している
・従業員自身が今までの仕事のやり方を変えていくことが求められている

一般的に、何らかの変化に適応するときはストレスが生じやすいといわれています。メンタルヘルス調査をみると、職場では新しい課題への対応力や仕事のやり方を変えるなどの適応力が求められるようになり、ストレスが生まれやすくなったようです。また、対応力や適応力は、入社して間もない10~20代にも要求されます。「心の病」を引き起こす原因は特定できませんが、変化への適応によるストレスは原因の1つといえるでしょう。