医師の「働き方改革」と長時間労働の現実
ジャンル:その他
医師の「働き方改革」と長時間労働の現実
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患者の命を救うはずの医師が過労で自らの命を落としてしまう。病院で働く医師の長時間労働は常態化しています。政府は医師の働き方改革に関する検討会を行ってはいるものの、医師の労働時間を短縮することは、地域医療への影響などを考えると、現実的には難しいという声もあります。医師や会社員など職業に関わらず、適切な労働時間管理が従業員の健康を守るのではないでしょうか。
医師の勤務実態
医師の仕事といえば、患者の痛みや苦しみを和らげたり、患者の命を救ったりするための診察や手術が思い浮かびます。いざという時に患者の命を救う医師が、過労により自らの命を落としてしまうことがあるのです。厚生労働省は安全で質の高い医療サービスを提供するため「医師の働き方改革に関する検討会」を実施しています。
平成29年9月21日の検討会にて提示された「医師勤務実態について」の資料より、常勤医師の4割近くが、週当たりの勤務時間が60時間以上の長時間労働であることがわかりました。特に、産婦人科、救急科、外科系は半数程度の常勤医師が週60時間を超えた勤務だと報告されています。
長時間労働は患者の命を守るため
医師が長時間労働となる要因には、診察を希望する患者のため診察時間が伸びることが挙げられます。
さらに、医師独特の働き方である「当直」もひとつの要因です。当直は夜間に緊急事態が起きた時に対応できるよう病院に宿泊する勤務です。
「医師勤務実態について」によると、4割程度の勤務医は月当たり1~4回の当直があり、1割は5~8回もの当直があるようです。深夜でも緊急時には診察してほしいという患者から病院への要望もあるため、病院が医師の当直を失くすことは難しい状況ですが、長時間労働による過労を防ぐことも考えておく必要があります。
医師の労働時間管理
会社員と同様に勤務医も従業員であり、定められている始業や終業の時刻、残業の有無や休憩時間などが適正に管理されているか確認しておく必要があります。
さらに参加が義務付けられているカンファレンスや症例検討会に要する時間や、残業命令には基づかないが業務上残業する必要性のある時間、仮眠時間でも救急医療を行った時間なども、労働時間として管理します。
医療の安全確保のためにも医師の労働時間は正しく把握し、特定の医師に負荷がかかっている場合は複数の医師で負荷分散する、時間での交代勤務の場合は交代後には速やかに業務から離れる、などの働き方改革が医師にも必要なのです。
医療を受ける側も意識改革を
日本は国民皆保険制度となっており、患者が医療を受ける病院や医師を選択でき、緊急時には夜間救急も受診することが可能です。
患者は具合が悪ければいつでもどこの病院でも受診できるという安心感がありますが、休日や夜間に緊急性のない軽症患者が救急外来を受診するコンビニ受診や、複数の医療機関を渡り歩くドクターショッピングなどが繰り返されることも、医師が長時間労働となるひとつの要因でもあります。医師の働き方改革には、医療を受ける側の意識改革も必要なのかもしれません。