労働災害による死亡者を減少させるために

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ジャンル:労務管理

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労働災害の死亡者数は昭和の時代と比較すると減少傾向ではあるものの、現在でも労働災害で命を落とす方がいらっしゃいます。厚生労働省は「第13次労働災害防止計画」にて、2022年までに、労働災害による死亡者数を15%以上減少させると公表しました。厚生労働省の取り組みに加えて、職場の身近なところでも労働災害を起こさないよう取り組みましょう。

労働災害とは

労働災害(労災)とは、業務中や通勤途中の事故や災害などを原因として、労働者がケガや病気、死亡や障害の被害を受けることを指します。業務中の労働災害の一例としては、「トンネル坑内での作業中に設置された機械から一酸化炭素が発生し一酸化炭素中毒となった」「介護対象者を支えた歩行で介護者が一緒に転倒し胸を強打して肋骨を骨折した」「調理中にフライパンの油に引火し右手を火傷した」など、労働災害はどんな職場でも発生する可能性があります。

労働災害により被害を受けた労働者は、雇用形態にかかわらず、労働者災害補償保険(労災保険)の適用対象となります。事業主はひとりでも労働者を雇っていたら、労災保険へ加入しなければなりません。


近年の労働災害発生状況

労働災害による死亡者数は、昭和36年の6,712人をピークに長期的に減少しています。厚生労働省が公表した平成28年の労働災害による死亡者数は928人で、平成27年の972人に比べ44人減少となりました。平成27年には死亡者数が初めて1,000人を下回り、平成28年はさらに減少となりました。

平成27年に死亡者数が多かった業種は、建設業が327人、製造業が160人、陸上貨物運送事業が125人となっています。

平成28年は、建設業が294人(前年比33人減)、製造業が177人(同17人増)、陸上貨物運送事業が99人(同26人減)となりました。

労働災害による死傷者数(死亡・休業4日以上)は平成26年が119,535人、平成27年が116,311人で、平成28年が117,910人で、毎年10万人以上の方が労働災害に合っています。


厚生労働省の第13次労働災害防止計画

厚生労働省は、労働災害の防止に向けて2018年度を初年度とした5か年計画の「第13次労働災害防止計画」を公表しました。

労働災害防止計画は、労働災害を防止するために、国、事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めたものです。「第13次労働災害防止計画」の主な目標は、2022年までに、労働災害による死亡者数を2017年と比較し15%以上減少させることに加え、労働災害による死傷者数(休業4日以上)、重点業種、メンタルヘルス対策、化学物質による健康障害防止対策、腰痛予防対策、熱中症予防対策について数値目標を設定することです。

目標達成に向け以下の重点事項を掲げています。

1 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
2 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進
3 就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
4 疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進
5 化学物質等による健康障害防止対策の推進
6 企業・業界単位での安全衛生の取組の強化
7 安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進
8 国民全体の安全・健康意識の高揚等


労働災害を防ぐ自主的活動従

業員の安全と健康の確保は事業者の責務ではありますが、安全で健康に働くには、事業者と労働者が一体となって災害防止の活動に取り組み、危険に対する認識や安全意識を高めることが重要です。

作業中にヒヤリやハッとした事例を報告するヒヤリ・ハット活動や、作業者の危険に対する意識を高める危険予知活動など、自主的に安全衛生活動に取り組むことが労働災害を防ぐポイントでもあります。