ストレスチェック初年度にわかった問題点

ストレスチェック初年度にわかった問題点

ジャンル:ストレスチェック

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この11月末日で締め切られたストレスチェックですが、実施されましたか?初年度のため、試行錯誤もあったのではないでしょうか。

初めてでもあり、また従業員の精神面の問題だけに、何かと苦労も多かったと思われます。そんな中で出てきた問題点を示します。

今後、ストレスチェックは毎年行う制度のため、来年度のための参考にもなればと思います。

受検率が悪い

ストレスチェック制度は事業所には義務づけられていますが、従業員にとっては任意の制度です。そのため、受検率が悪いという問題があります。これまでも会社の健康診断も受けたがらない人がいますよね。そういう方を含めて、ストレスチェックを受けない方もいらっしゃるでしょう。もちろん面倒くさいという方もいるでしょうが、ストレスチェックについては、自分の精神的な問題を把握されて、待遇悪化や解雇などの不安がある方も多くいらっしゃいます。

ストレスチェックの個人の結果は、外部の実施者である産業医などのみが把握し、人事管理者などには伝わらない仕組みをつくっています。そのため、ストレスチェックによって不利益を得ることはないという情報を徹底して伝える必要があります。ストレスチェックの趣旨や実施体制、実施方法などを説明会を含めて、しっかりと情報提供して、労働者の不安を払拭し、ストレスチェックを受診しやすい環境を整えることが重要です。そして、職場ごとの受検率を把握して、さらに奨励していく必要があります。


面談の申し込みが少ない

ストレスチェックの結果、高ストレスと判断された社員の医師面接の受検率が問題になています。面談の必要ありと評価された高ストレス者が素直に応じてくれるとは限りません。「面談を受けるとその内容が上司に伝わってしまう」、「出世や雇用に影響がある」といった不安を考える社員は多いのです。それには、受検のときと同様に、従業員の不利益になるような情報が会社に伝わらないシステムであることを、あらためて理解してもらう必要があります。

産業医などの医療関係者は守秘義務が重要です。そのため会社に雇われる医師といえども、従業員のメンタルな問題を会社を含めた第三者に伝えることはできません。それを理解してもらうことと、ストレスの原因の解明と解消が、従業員本人にとっても重要な問題であることを認識してもらうことが必要です。それは実施者である産業医などの力量にもよるともいえるでしょう。


職場改善の問題

ストレスチェックの集団分析の結果をふまえて、事業所が職場改善を行うのも、初めてのことなので、十分に対応できないこともあるでしょう。

労働時間や休憩などの問題を解決することはできますが、ストレスの大きな原因の一つといわれる上司や同僚などとの人間関係は、人事配置などで対応できない事業所もあります。

ただ、何らかの対応をしないと、従業員のストレスは改善されません。まずは可能な職場改善を行いつつ、上司などに従業員のストレスを認識させる必要があります。無自覚であれば配置転換をしても同じ問題が生じます。例えば、実施者である産業医などの客観的立場から、ストレスの原因となる上司や同僚に理解を求めます。そのうえで対応することになるでしょう。


次年度に向けて

今回は、ストレスチェック制度実施の初年度で、事業所、従業員ともにさまざまな試行錯誤があるかと思います。

しかし、毎年必要となるストレスチェックなので、今回の経験を生かして、次年度、さらにその次年度、より良い職場環境をつくり、高ストレス社員を減らすことが、事業所としても生産性を高め、従業員にとっても働きやすい環境につながることは間違いありません。今年度の経験を生かして、ぜひともストレスチェック制度を、企業にとっても従業員にとってもプラスになるように生かしたいものです。