2017年から始まったマタハラ防止措置とは?

2017年から始まったマタハラ防止措置とは?

ジャンル:労務管理

2017年から始まったマタハラ防止措置とは?

ジャンル:労務管理

Facebook Twitter

2016年の「男女雇用機会均等法」などの改正によってマタハラの問題を未然に防ぐための防止措置が定められました。マタハラ防止措置を適切に講ずることは事業主の義務となり、2017年1月から施行されています。

企業内でマタハラを防止するにはどうしたらよいのでしょうか。厚生労働省が示すマタハラに当たる言動などを確認しながら、よりよい職場環境への取組みを考えてみましょう。

企業内に「マタハラ防止措置」が必要になった理由

2016年3月、男女雇用機会均等法の改正によって、2017年1月1日から「マタハラ防止措置」が事業主の新たな義務となりました。マタハラ防止措置とは妊娠や出産、また、育児や介護のための休業などに関するマタニティ・ハラスメントの問題を予防するための措置のことです。

これまでも、妊娠、出産を理由とした降格や解雇といった不利益な取扱いは禁止されていました。しかし、実際には事業主に妊娠したことを伝えたり、産前休業の希望を申し出たりすると降格や雇い止め、あるいは嫌がらせが続きやむなく離職する人は少なくありませんでした。このような中、妊娠を理由にした降格の違法性を認める判決が出されたの機にマタハラ問題がクローズアップされ、職場環境の改善がより求められるようになったのです。


対象となるのは正社員だけ?

講ずるべき防止措置とはマタハラ防止措置は妊娠や出産をした「女性労働者」としていますが、この女性労働者とは正社員だけではありません。正規、非正規を問わず、フルタイムかパートかの区別もなく「すべての女性労働者」のことです。派遣社員の場合は派遣元に限らず、派遣先の企業にも適用されます。

事業主が行うべき措置としては事業主がマタハラ防止の方針を明確化すること、制度に関する周知・啓発、また、相談窓口の設置や問題発生時の迅速・適正な対応などです。マタハラに限らず、パワハラやセクハラなどの問題では「ハラスメントと思っていなかった」という加害者(行為者)の認識が課題となっています。ハラスメントを防止するには事業主の意思表明のもと、研修などを通して社員ひとり一人が理解を深めることが大切です。


どのような言動がマタハラになるかをしっかり押さえる

平成27年1月に新設されたマタハラ防止措置で重要なのは、事業主だけでなく上司や同僚からの不当な言動や対応を含むという点です。また、制度などを請求・利用した場合のほかに「相談」の段階も含み、不当な取扱いを「示唆」することも防止措置の対象になりました。

嫌がらせのタイプとしては大きくは二つで、産前休業や軽易業務への配置転換などの制度利用に関するもの、また、妊娠や出産による就業制限で働けない状態に関するものです。時代とともに人々の認識は変わります。まず、このことを認識し、新たな認識を受け入れる姿勢が大事です。マタハラに関する社員の認識を統一するために研修会を開き、知識を確認する機会を持ちましょう。


マタハラの防止策と起きてしまったときの対応は?

社内に相談や苦情の窓口を設ける場合、「話した内容が漏れてしまうのでは」というプライバシーの保護について心配する相談者が多いです。労働者が相談窓口を利用しにくく感じると、本来の機能が果たせません。そのため、相談内容に関する情報管理のルールづくりとその徹底が必要です。窓口担当者の教育にも力を入れ、適切な対応ができる体制をつくりましょう。

また、実際にマタハラの相談を受けたときは相談者と行為者、必要に応じて第三者からも話しを聞き、より正確な事実確認に努めてください。その結果、事実であれば就業規則などの社内のルールに基づき、厳正な対処が必要になります。事実確認も、措置についても迅速さと適正な対応かどうかが重要です。対応に困ったときは厚生労働省が設置する「ハラスメント対応特別相談窓口」や都道府県労働局の「雇用環境・均等部(室)」に相談することもできます。さらに、民間のEAPなどを利用する方法もあるので、社内だけで抱え込まずに相談するとよいでしょう。