認定されればホワイト企業?「健康経営優良企業認定制度」とは
ジャンル:労務管理
認定されればホワイト企業?「健康経営優良企業認定制度」とは
ジャンル:労務管理
従業員が健康に働くことができる企業は、会社の経営にも大きな成果が期待できるという「健康経営」という考え方が広まりつつあります。健康経営により従業員の医療費の削減はもちろんのこと、健康経営優良企業は株式市場で評価されるなど、企業イメージの向上につながります。新たに創設された「健康経営優良企業認定制度」について知っておきましょう。
健康経営は従業員への投資
これまで、企業の多くは生産性を高めるためには、従業員の仕事遂行能力を高めることが重要だと考え、OJTで訓練し、Off-JTとして研修を受けさせる従業員教育の取り組みを行ってきました。これに加えて、従業員が心身ともに健康であると、働く意欲が向上して、企業の生産性の向上につながるという、従業員の健康に投資するという考えが広まってきています。このように健康管理を戦略的に行うことを「健康経営」といいます。
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省が日本健康会議と共同して、優良な健康経営を実践している法人を「健康経営優良法人」として認定する制度です。2020年までに500社の大規模法人を認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」もそのひとつです。
健康経営優良法人制度により、経済産業省は、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に取り組んでいる法人を見える化し、社会的に評価を受けられる環境の整備を目指しています。認定を受けることで、ホワイト企業であるという企業イメージの向上につながるメリットもあるといえます。また、経済産業省は東京証券取引所と共同して、健康経営に取り組む上場企業を投資家にとって魅力ある企業として紹介する「健康経営銘柄」の選定にも取り組んでいます。
健康経営優良法人の認定基準
経済産業省の健康経営優良法人認定制度では、企業の規模によって中小規模法人部門と大規模法人部門に分け、それぞれの部門で健康経営優良法人を認定します。
認定基準の内容は、企業の経営理念や組織体制に始まり、従業員の定期検診の受診やストレスチェックの実施、ヘルスリテラシーの向上やメンタルヘルス不調者に対する取り組みなどの健康づくりの施策が実行されているか、取り組みの質は確保されているか、評価や改善が行われているか、法令順守されているかなどの項目から構成されています。この基準は、経済産業省の健康経営銘柄のフレームワークをもとに設定されています。健康経営銘柄は健康経営優良法人認定制度の認定を受けている企業から選定されます。
ホワイト企業と呼ばれるために
「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されることがホワイト企業の証なのでしょうか。健康経営優良法人認定制度はあくまでも1つの基準であり、経済産業省がホワイト企業であると保証するものではありません。本当のホワイト企業は、その企業で働く従業員が、心も体も健康で、「この会社で長く働き続けたい」と口々に言う企業ではないでしょうか。ヘルスリテラシーの向上と言葉で言うのは簡単ですが、その取り組みは地道で、かつ長く継続されなければ効果があがりません。ストレスチェックの結果などを真摯に受け止めて、従業員の心と体の健康づくりを大切に、従業員の活力向上を目指す取り組みを考えて行きましょう。