統計からわかったメンタルヘルス対策の現状

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ジャンル:労務管理

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厚生労働省では、事業所の労働災害防止活動及び安全衛生教育の実施状況等の実態と労働者の労働災害防止等に対する意識について「平成27年労働安全衛生調査(実態調査)」を実施しました。その結果、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.7%、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事がある労働者は55.7%いることが分かりました。

メンタルヘルス不調で休んでいる人はどのくらいいる?

隣の席に座っていた方がある日「突然メンタルヘルス不調で休む」と聞くと驚きますね。実際にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業又は退職した労働者はどのくらいいるのでしょうか。

厚生労働省の労働安全衛生調査では、過去1年間(平成26年11月1日から平成27年10月31日まで)にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者の割合は全労働者の0.4%、退職した労働者の割合は0.2%という調査結果が出ています。産業別にみると1ヶ月以上休職した労働者は情報通信業が1.3%と最も高く、退職した労働者は、情報通信業、宿泊業、サービス業及び医療福祉が最も高くなっており、0.4%いるようです。


事業所はメンタルヘルス対策に取り組んでいるの?

1ヶ月以上休む方がいる結果から、事業所のメンタルヘルスへの取り組みは行われているのか気になりますね。退職厚生労働省の労働安全衛生調査から、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.7%となっています。その取り組み内容を見ると「メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備」が44.4%と最も多く、次いで「メンタルヘルス対策に関する労働者への教育研修・情報提供」が42.0%、「メンタルヘルス対策に関する管理監督者への教育研修・情報提供」が38.6%となっています。 

また、メンタルヘルス対策としてストレスチェックを実施した事業所もあります。ストレスチェックの実施時期は「定期健康診断以外の機会に実施した」は58.9%、「定期健康診断の機会に実施した」は39.7%です。このストレスチェックを実施した事業所のうち、事業所が指定した医師等の専門家による面談等を実施した事業所は47.1%で、面談等を実施した労働者の割合が80%以上となっている事業所が23.4%あります。


労働者は仕事や職業生活に関してどんな不安を持っているの?

事業所の半数以上がメンタルヘルス対策に取り組み、高ストレス者に対して産業医が積極的に面談を行っているという現状に対して、厚生労働省の労働安全衛生調査の労働者調査では、労働者の半数以上(55.7%)は現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事がある」と回答しています。労働者も仕事や職業生活に不安を持っている方が多いといえます。


不安や悩みはひとりで抱えず相談を

事業所がメンタルヘルスに対する取り組みを推し進めていても、労働者が強い不安や悩みで急に休むこともあります。ストレスチェックでの高ストレス者はもちろん、高ストレス者以外でも、仕事に対する不安や悩みで眠れなくなったり、食欲がなくなったり、朝起きられなくなった場合には、やはり休養が必要です。メンタル不調に周りの方が気付くとともに、一人で抱えずに相談できる環境をつくることも大切ですね。