中小企業だからこそ出来る心のケア

中小企業だからこそ出来る心のケア

ジャンル:労務管理

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中小企業では社員のメンタルヘルスについて何らかの対策をしているところはまだ少数。大企業に比べると対策の遅れが目立ちます。中小企業ではストレスチェックをメンタルヘルス対策の第一歩にして取り組むとよいでしょう。中小企業だからこそ出来る心のケアは、どのように進めたらよいのでしょうか。

中小企業のメンタルヘルス対策はなぜ遅れているの?

中小企業ではメンタルヘルス不調になると休職の規程がないので休職ができず、たとえ休職の規定があっても復職の支援プログラムがないため結果として離職する人は少なくありません。

また、財務省の全国調査(2016)によると、中小企業のうち人手不足を感じている企業はおよそ75%。管理監督者の多くは実務に携わっているので多忙を極め、管理監督者の役割を果たすことも、研修を受ける余裕もないという声が聞かれます。そのため、部下の不調を早期に発見し、適切な対応をするのは難しく、さらに、中小企業では資金的なゆとりもないのでメンタルヘルス対策は二の次になりがちです。


社員のストレス対策には社長の決断が重要!

近年、精神障害の労災認定数は増加傾向です。裁判でも高額の賠償金を命ぜられることもあり、企業は社員の安全配慮義務だけでなく、健康配慮義務も課せられるようになりました。また、休職などで欠員が生じると生産性が低下するほか、代替え要員や復職支援などにかかる費用は数百万円にも上るという試算もあります。社員が少ない中小企業ほど社員のメンタル不調によるダメージは深刻でしょう。会社のダメージを抑えるには社員がストレスを自覚するとともに、ストレス軽減のために職場改善を図り、メンタル不調を予防することが大切です。

ストレスチェックも形だけで終わらせるのではなく、専門家の指導を受けて適切な方法で実施し、さらに、集団分析により職場改善に活かせる有益なストレスチェックにしましょう。中小企業では社長が決断することで具体化しやすいという強みがあります。社長がストレス対策の必要性について理解を深め、元気に働ける職場の実現を社員に意思表示し、将来の投資として助成金などを利用しながら予算をつけましょう。


助成金を上手に活用!メンタルヘルス対策に使える助成金

ストレスチェックの実施促進を目的とした助成金は社員50人未満の企業で利用できる制度ですが、中小企業が使える助成金は他にもあります。



・中小企業労働環境向上助成金

個別中小企業助成コースの「雇用管理制度助成」は、研修制度や健康づくり制度などを通して人材の定着や確保を図る中小企業の事業主に支給されます。健康づくり制度としては人間ドックや専門家によるメンタルヘルス相談などを行った場合に利用でき、支給額は30万円です。



・障害者職場復帰支援助成金

うつ病などの精神障害者や身体障害者など一定の条件を満たす社員が職場復帰するときに必要な措置をした場合に助成されるものです。職場の措置には就労に関する集団指導や個別のカウンセリングなどのリワーク支援などが含まれ、中小企業には70万円(大企業は50万円)が2回に分けて支給されます。


利用は無料!地域産業保健センターを使って心のケア

全国の主な都市にある地域産業保健センター(地産保、ちさんぽ)は社員が50人未満の企業に対して健康支援事業を行っているところです。地産保にはストレスを感じるときやメンタル不調になったときに相談できる窓口があり、人事担当者がメンタル不調者の対応に困ったときにも相談することができます。

地産保の相談窓口をはじめ、メンタルヘルスに関する相談窓口や研修などの情報を社内の掲示板など目につくところに掲示したり、朝礼で話題にしたり、小さなことを続けていきましょう。メンタルヘルスの知識に触れる機会や健康の維持・増進についてを考えるきっかけを継続してつくると、社員の健康に対する意識づけが変化していくでしょう。