人手不足で社員がうつ病に?企業が潰れる前に取組むべきOJTなどの社員教育

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ジャンル:労務管理

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長時間労働が常態化している原因の一つは、人手不足といわれています。人手不足の状態ではOJTなどの社員教育も適切に実施されず、社員がうつ病などの精神障害を発症して辞めていくということも少なくないようです。人手不足の現状や社員のストレスに及ぼす影響、労働力確保の対策について調査をもとにご紹介します。

人手不足が生じている企業は半数以上!

2016年12月、独立行政法人労働政策研究・研修機構は人手不足の実態と労働者のストレス等に及ぼす影響などを調べた二つの調査結果を発表しました。

企業に対して行った「人材(人手)不足の現状等に関する調査」と労働者を対象にした「働き方のあり方等に関する調査」です。企業の調査によると人手不足が生じている企業は52.1%。このうち、人手不足が企業経営に深刻な影響を及ぼしているという企業は14.1%、一定の影響があるとしたのは52.1%でした。具体的には「需要の増加に対応できない」、あるいは「技術・ノウハウの着実な伝承が困難」などの影響が挙げられています。


社員や職場に及ぼす影響は?人手不足が引き起こす問題

人手不足が起きている企業のうち、約7割の企業は人手不足の職場への影響として時間外労働の増加や休暇取得数の減少を挙げています。また、3割弱の企業が挙げたのは従業員間の人間関係などの悪化をはじめ、教育訓練や能力開発機会の減少、従業員の労働意欲の低下などです。さらに、職場の人手不足を強く感じている労働者では、ストレスを「強く感じる」という人が3人に1人以上を占め、「やや感じる」を合わせると8割超でした。なお、人手不足を強く感じている人のおよそ3割は、転職などを希望していました


負のスパイラル!社員がうつになって人手不足が深刻に

近年、長時間残業などが続く職場では、社員が過労死や過労自殺で亡くなるといった深刻な問題が起きています。うつ病などの精神障害を発症して休職に追い込まれ、休職期間のうちに回復せず「仕方なく退職した」という人は少なくなりません。職場では欠員を補うために採用を繰り返しますが、過酷な労働環境は改善していないため、多くの場合、新たな不調者が増えるだけです。人手不足は残念ながら一層、深刻になっていきます。

また、出勤はしているが心身の不調のために、充分なパフォーマンスができないというプレゼンティズム(Presenteeism)が企業経営の新たな課題として取り上げられるようになりました。プレゼンティズムは花粉症や寝不足、二日酔いなどの一過性の不調による作業効率の低下も含みますが、うつ病が長引いた場合などは影響がより大きくなるでしょう。過重労働を強いる職場では心身の不調で社員が離職するか、プレゼンティズムの影響などで、結果として企業自体が潰れていくのではないかと危惧する声もあります。


労働力をどう確保する?効果的なOJTで教育訓練を強化

人手不足の企業では、社員の教育訓練などによって労働力を高める必要があります。一方、上司や先輩社員が現場で新人社員の育成を図るOJTは、指導役の社員も多忙な場合、適切に実施できないことが多いです。OJTは実際の業務を行いながら、仕事のうえで必要となる知識をそれぞれの職場のマイナールールなどを含めて身につけられるというメリットがあります。しかし、指導役の教育的なスキルの影響が大きいことがOJTの課題です。

たとえば、指導方法や企画力、また、意欲を高めるようなかかわり方ができるかなどの要因によって、OJTの効果は変動しやすいとされています。さらに、OJTは実際の業務を単に行わせればよい訳ではありません。業務の難易度を分析し、新人社員が「少し頑張れば自分にもできそう」といった水準にして意欲を高め、難易度を徐々に上げていけるような指導が重要です。人手不足といった限られた人数の中で生産性を上げるには、社内の教育訓練方法を見直し、労働力の確保を目指しましょう。