建設業のメンタルヘルスへの取り組みに厚生労働省が介入!?
ジャンル:労務管理
建設業のメンタルヘルスへの取り組みに厚生労働省が介入!?
ジャンル:労務管理
多くの人が働く建設業で、働き過ぎや人間関係のトラブルで、うつ病などの精神疾患にかかり労災認定する数が増えてきています。ストレスチェックの実施義務は事業者ごとに課せられているため、同じ現場に多数の事業主が存在する建設業では、同一事業場の労働者数が50名に満たず、ストレスチェックを受ける義務から外れ、精神疾患に気づけないことがあります。そこで厚生労働省が取り組みを強化することとなりました。
建設業労働者の働き方の特徴
建設業の労働者が働く主な事業場には、建物を作る建設現場などがあります。ひとつの建物の完成させるために、まず基礎を作る工事を行い、そして内装や外装、設備工事など、順を追って数多くの工程を行う必要があります。それぞれの工程ごとに専門的な技術をもつ労働者がチームを組んで働き、次の工程へ繋げていきます。
建設の工程によっては、力仕事が中心で多くの労働者を必要とする工程もあれば、専門知識を持つ数人の労働者で行う工程もあるため、働く労働者数も、労働時間も年間通して同一ではなく、増減が発生します。さらに、仕事を受注した元請け事業者が必要に応じて1次請けに、1次請けの事業者が2次請けに、2次請けの事業者が3次請けを行う重層構造であり、1つの事業場で働く労働者であっても、それぞれが別の事業主に雇われている状況も発生します。
建設業の労働者が抱えるストレス
建設現場の各事業場は50人未満の小規模であることが多く、ストレスチェック義務化の対象とならないことが多いのですが、工程による労働時間の増加や仕事の質が上がることに対するストレスや、オフィス内の勤務とは異なり、危険な場所で働くことでの事故や災害を体験するストレス、そしてひとつの建物を建てるためだけに集まった重層構造で事業主の異なる労働者間や上司との人間関係によるストレスなどを抱えています。
このようなストレスを抱える状態が続き、うつ病などの精神疾患にかかる建設業の労働者が増加傾向にあることから、建設業のメンタルヘルス対策の取り組みの強化が求められています。そこで、厚生労働省がメンタルヘルス対策に関する介入調査を実施することになったのです。
厚生労働省の介入調査とメンタルヘルス対策強化
厚生労働省の介入調査では、建設現場の元請け事業者と下請け事業者に勤めるそれぞれの労働者に対してストレスチェックを実施します。ストレスチェックの結果は元請けと下請けに分けて集団分析を行い、分析結果を踏まえて職場環境改善を試行的に実施します。施行する建設現場は地域特性や工事規模など多様性を確保しながら選ばれます。
職場環境改善の手法には、厚労省のマニュアルにある従業員参加型の職場環境改善ワークショップなどが用いられる予定です。どこの建設現場にいつ厚生労働省が介入するかは分かりませんが、50人未満の事業場でもストレスチェックを毎年実施して、メンタルヘルス対策の強化を図っておくことが大切です。50人未満は義務ではなく努力義務だからストレスチェックはそのうち実施すればいいと、何の対策もせずにいると、精神疾患による休職者がふえ、結果的に損失につながることもあり得ます。
まずは、ストレスチェック担当者を決めて、ストレスチェックを実施するための体制を整えます。初めてのストレスチェック実施で進め方がわからない場合は、ストレスチェック提供会社に相談してみることで解決に繋がることも多いものです。