ボーナスもらって辞める人
ジャンル:労務管理
ボーナスもらって辞める人
ジャンル:労務管理
12月と言えば、多くの企業でボーナスが支給される時期。特にボーナスの使い道を決めている方は、今から支給日を心待ちにしているのではないだろうか。
一方で、企業側にとってボーナスは大きな支出となる。とは言え、従業員の頑張りを評価するのに効果的な手段であり、そして「今後に期待している」という意思表示にもなるため、欠かすことはできないだろう。ボーナスは、先行投資的な意味合いも含んでいるものだ。
しかしながら、中にはボーナスが支給されてすぐ、もしくは支給が決定されてすぐに退職したいと申し出る従業員も見られる。
「そんな従業員にはボーナスは払いたくない!」という声が聞こえてきそうだが、ここで支給を取りやめるのも考えもの。「退職願を出したら上司からボーナス支給を撤回すると言われた」と不満を申し立てられ、トラブルに発展するケースも少なくない。
つまり、予定通り支給するにせよ、トラブルになるにせよ、企業にとっては痛手になるのだ。できることなら、未然に防ぎたいものである。
■ボーナスをもらって辞める従業員の事情とは?
ここで疑問になるのが、ボーナスをもらって辞める従業員は「意図的に退職時期を設定しているのか」ということである。
従業員の立場で考えれば、「あの人はボーナスをもらってから辞めた」と後ろ指を指されるのは、決して気分が良いものではないだろう。では、なぜボーナス支給後に退職する従業員が出てしまうのだろうか?
この疑問を考える上で注目したいのは、転職市場の動向である。ボーナス支給時期である12月前後は、転職活動が盛んになるシーズンなのだ。新年がスタートするキリの良いタイミングで新入社員を迎えたい企業は多いもの。よって、11?12月頃に求人を出す企業も必然的に多くなる。
同じくボーナスが支給時期である6月前後は求人数が減少する傾向にあるが、求職者数も減ることを忘れてはいけない。つまり、ライバルが少ない期間となり、転職が決まりやすい時期になるわけだ。
このような場合、決して「もらえるものはもらおう」という魂胆があるとは言えない。つまり、「ボーナス支給時期に辞めると言わせないこと」ではなく「辞めたいと思わせないこと」を基準に対策を立てるべきであると考えられる。
また、もともと退職したいと考えていて、偶然ボーナス支給時期に決断したという場合もあるだろう。特に、人間関係によるストレスなどが退職理由の場合は、時期にまで気が回らないことが多い。ボーナス時期であろうがなかろうが、限界がきた時点で辞めてしまうものだ。そういう社員に対して「ボーナスをもらって辞めた」と言うのは早計である。
■時期にとらわれず「長く働ける職場づくり」に取り組むことがポイント
ここまで見てきたように、重要なのは「辞めたいと思う従業員が出てこない状態をつくること」にある。そもそも、企業にとって痛手となるくらい高額のボーナスを支払う人材であれば、いなくなること自体が大きな損失なのである。
辞めたいと思わせない環境づくりには、従業員が不満や不安を抱く要素を把握し、早期に潰していくことが有効だ。
その手段の一つとして、「ストレスチェック」が挙げられる。従業員のメンタル面をしっかりと管理して、退職者が出ない職場をつくること。ボーナス支給時期にとらわれず、常に対策をしておくことが、結果的にボーナスをもらって辞める従業員の問題を解決することになるだろう。