ストレスチェック導入前
Q1.「こころの耳」を労働者が実施して産業医に提出すればストレスチェック実施扱いになるの?
A1.労働者が「こころの耳」を利用してセルフチェックを行っただけでは、法に基づくストレスチェックを実施したことにはなりません。
Q2.50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施する場合についても指針に従うこととなるの?
A2.50人未満の事業場で実施する場合についても、法令、指針等に従う必要があります。
Q3.ストレスチェック義務化に伴い、産業医に追加される職務とは?
A3.産業医の職務に、「ストレスチェックの実施」、「ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施」、「面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」が追加になります。
Q4.ストレスチェック実施の際、事業者における禁止事項とは?
A4.事業者が以下の行為を行うことは禁止されています。
① 次のことを理由に労働者に対して不利益な取扱いを行うこと
・ 医師による面接指導を受けたい旨の申出を行ったこと
・ ストレスチェックを受けないこと
・ ストレスチェック結果の事業者への提供に同意しないこと
・ 医師による面接指導の申出を行わないこと
② 面接指導の結果を理由として、解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこと
Q5.ストレスチェックの調査票にはどのような質問があるの?
A5.①ストレスの原因に関する質問項目
②ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
③労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目
Q6.ストレスチェック、いつから施行される?
A6.平成27年12月1日からです。
Q7.ストレスチェック、実施前にすることとは?
A7.ストレスチェック制度の実施に先立って、労働者への通知ならびにストレスチェック制度の実施体制の確立が重要な課題です。事業者は、ストレスチェックを円滑に実施する体制の整備並びに個人情報保護等をも含めた対応について労働者へ十分な説明をする必要があります。その際、事業者がストレスチェック導入についての方針等について事業場内で表明することが必要です。事業者の表明に続いて、衛生委員会の審議や体制の整備、個人情報保護などの対応が検討され、円滑な実施に向けてスタートすることになります。安全衛生(健康)計画や新年度に向けての経営陣の経営方針と同時に発表することが効果的といえます。事業場においては年度毎に安全衛生(健康)方針を定めて周知しているところもあることから、その安全衛生(健康)方針の中にストレスチェック制度の内容等を含めて周知することも一つの方法です。
Q8.ストレスチェックサービスを選ぶポイントは?
A8.ストレスチェックの調査票には、以下の3つの領域に関する項目を全て含まれなければなりません。
国が示す「職業性ストレス簡易調査票」(57項目の調査票)を標準的な項目とし、各企業は独自に調査票の項目を選定できます。
・仕事のストレス要因
・心身のストレス反応
・周囲のサポート
Q9.ストレスチェック実施にあたり、何に気をつければいいの?
A9.ストレスチェック制度は、労働者の個人情報が適切に保護され、不正な目的で利用されないようにすることで、労働者も安心して受け、適切な対応や改善につなげられる仕組みです。
このことを念頭において、情報の取扱いに留意するとともに、不利益な取扱いを防止しましょう。
Q10.ストレスチェックってどんなテスト?
A10.◯×形式で答える簡単なテストです。実施業者によって解析内容などは変わります。
Q11.ストレスチェックの「実施者」と「実施事務従事者」のちがいは何?
A11.「実施者」とは
新制度では、”厚生労働省令にてストレスチェックの実施主体となれる者”が定められ、ストレスチェックの実施者として、医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士とすることが適当とされます。
「実施事務従事者」とは
「ストレスチェックの受検者となり得る労働者について、解雇、昇進又は異動等に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」等、一定の条件に該当しない事業者内の人事部門の従業員は、実施事務従事者として実施者のストレスチェック推進のサポートを行うことができます。
Q12.ストレスチェックの実施方法や調査票の内容は?
A12.調査票によるストレスチェックが基本調査票によることを基本とし、面談による方法は必須としないことが適当とされています。
「職業性ストレス簡易調査票」の項目が推奨
国が示す標準的な項目は、これまでの研究の蓄積及び使用実績があり、現時点では最も望ましいものであると考えられる「職業性ストレス簡易調査票(57問式)」を使用することが妥当とされました。
Q13.ストレスチェックは「誰が」「いつ」「年に何回」実施するの?
A13.・ストレスチェックは「医師等」が実施
ストレスチェック制度では、日頃から職場環境を把握している産業医等、医師や看護師がその実務を担わなければいけません。事業者様が産業医様等にストレスチェックの実施を依頼し実施されることになります。
・年に最低1回以上の実施が必要
1年以内ごとに1回以上実施することが適当とされ、1年以内に複数回実施することや繁忙期に実施することに関しては、労使で合意すれば可能とすることが適当とされています。
・1回目は平成27年12月1日から平成28年11月30日までに実施しなければなりません。
Q14.ストレスチェックはどれくらいの頻度で実施すれば良いのでしょうか?健康診断と同様に、年に1回実施すれば良いの?
A14.ストレスチェックの実施頻度は、今後、労使や専門家のご意見を聴きつつ省令で定めることにしていますが、健康診断と同様に、1年以内ごとに1回以上実施していただくことを想定しています。
Q15.ストレスチェックを外部機関に委託した場合、本人への面接指導の勧奨は誰が行うの?
Q15.産業医が共同実施者の場合は産業医が勧奨することが望ましいです。
Q16.ストレスチェックを実施することができるのは、医師、保健師以外にどのような職種になるの?
A16.医師、保健師以外では、一定の研修を受けた看護師と精神保健福祉士を想定しており、具体的には、今後、労使や専門家のご意見を聴きつつ省令で定めることにしています。
Q17.ストレスチェック制度により、労働者がうつ病か否かが事業者に把握されてしまうの?
A17.ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握することにより、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげていく一次予防を主な目的とした制度であり、精神疾患の早期発見を行うことを一義的な目的とした制度ではありません。このため、ストレスチェックの内容も、あくまで労働者のストレスの程度を把握するための内容とする予定であり、精神疾患かどうかを把握する検査内容とすることは想定していません。ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握することにより、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげていく一次予防を主な目的とした制度であり、精神疾患の早期発見を行うことを一義的な目的とした制度ではありません。
Q18.ストレスチェック制度の目的とは?
Q18.ストレスチェック制度の主な目的は、従業員によるセルフチェックと高ストレス者への医師による面接指導の勧奨、および職場環境の改善であり、メンタルヘルス不調者や高ストレス者のスクリーニングが一義的な目的ではありません。制度の目的を事業者様と従業員様双方が理解し、改善に向けた活動を展開していくことが重要です。
Q19.ストレスチェック実施のためにどれくらい準備に時間がかかるの?
A19.準備から実施まで、Webなら5ヵ月、紙用紙では7ヵ月です。
Q20.何のためにストレスチェックをするの?
A20.労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
Q21.労働者へのストレスチェック受検義務は?
A21.ストレスチェックに関して、労働者に対して受検を義務付ける規定が置かれていないのは、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きい等の特別の理由がある労働者にまで受検を強要する必要はないためであり、本制度を効果的なものとするためにも、全ての労働者がストレスチェックを受検することが望ましいです。
Q22.一般定期検診時のストレスチェックはOK?
A22.一般定期健康診断と同時に実施することも可能とすることが適当とされていますが、「ストレスチェックには労働者に検査を受ける義務がないこと」「検査結果は本人に通知し、本人の同意なく事業者に通知できないこと」に留意して実施しなければいけません。
Q23.ストレスチェック実施において、外部機関の活用についてのルールは?
A23.ストレスチェックの実施を外部機関に業務委託する場合にも、企業内の産業保健スタッフが共同実施者として関与し、個人のストレスチェックの結果を把握するなど、外部機関と企業内産業保健スタッフが密接に連携することが望ましいとされています。
Q24.国が標準として示す57項目に加えて、ストレスに関連する独自の項目を加えることは問題ないでしょうか。また、質問数を数百に増やしたり、数項目程度に絞っても問題ない?
A24.「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域が含まれていれば、項目を増やしたり減らしたりしても問題はありません。ただし、独自に項目を設定する場合は、一定の科学的根拠に基づいた上で、実施者の意見の聴取、衛生委員会等での調査審議を行う必要があります。
なお、国が標準として示す57項目よりも少ない項目で実施する場合は、厚生労働省から出ている実施マニュアル(32ページ)に「職業性ストレス簡易調査票の簡略版」として23項目の例が掲載されているので参考にしていただきたいと思います。
Q25.社員数が50名内外の企業ですが、ストレスチェック対象者のカウント基準は?
A25.今回のストレスチェック制度の対象者は、産業医の選任基準と同様、常時使用する労働者をカウントします。
①期間の定めのない契約により使用される者(主に正社員等)もしくは、期間の定めのある契約により使用される者(主に契約社員や嘱託社員、パート社員など)の場合は、1年以上使用されることが予定されている者 及び更新により1年以上使用されている者で、かつ
②その者の1週間の労働時間数が、事業場における正社員の所定労働時間数の4分の3以上であれば対象者としてカウントしなければなりません。
Q26.従業員"全員"にストレスチェックを実施するの?
A26.ストレスチェックの対象とする労働者の範囲は、現行の一般定期健康診断の対象者を参考とし、これと同様とすることが適当とされます(報告書案より抜粋)。
期間の定めのない契約により使用される者(期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者及び更新により1年以上使用されている者)であって、その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の者は義務の対象。
1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上の者についても、対象とすることが望ましい。