勤怠管理から分かるストレス社員の特性
ジャンル:労務管理
勤怠管理から分かるストレス社員の特性
ジャンル:労務管理
近年、過労死が問題となり、平成26年11月に「過労死等防止対策推進法」が成立しました。過労死の原因となる過重労働を防ぐには、適正な勤怠管理が重要です。勤怠管理は、労働時間と賃金を管理するだけでなく、労働者の健康を身体的・精神的に支えるために必要です。過労死とともに精神疾患による休職なども企業にとっては大きなマイナスです。勤怠管理とストレスチェックを連動させ、職場のストレスを軽減させる方法を考えます。
勤怠管理の役割
勤怠管理は出勤簿の捺印だけという事業場もまだ少なくないでしょう。この方法では実態に即した労働時間を把握できません。また、手書きの時間記入も正確な労働時間の把握が困難です。正確に実態把握ができる勤怠管理方法を早急に取り入れましょう。勤怠管理によって健康障害を予防するために、時間外や休日の労働時間削減を目指す必要があります。
管理・監督者は時間外労働の賃金を支払う必要がなく、労働時間を把握していない企業も多いでしょう。しかし、管理・監督者も深夜労働の割増賃金は必要です。過重労働の抑制と、健康被害の予防のためには、管理・監督者や裁量労働制の労働者についても、勤怠管理によって労働時間を適正に把握することが重要です。
過重労働とストレス
労働時間が長い、過度な精神的負担などの過重労働が続くと、過労死や過労自殺の割合も高くなることが知られています。長時間労働などの過酷な労働環境では、脳出血などの脳血管障害や心筋梗塞などの心疾患、ストレスによるうつ病などを発症し、自ら命を落とすことも少なくありません。
かつて過労死は、40代や50代などの問題でしたが、現在では20代、30代が仕事のストレスなどで亡くなることが増えています。厚生労働省の「過労死ライン」は6カ月平均で月に80時間を超える場合、1カ月では100時間を超える場合です。また、時間外労働や休日労働が月に45時間を超えた場合、脳や心臓の病気を発生する可能性が高いとも言われています。労働安全衛生法では、月100時間を超える従業員の申し出による医師の面接が雇用者の義務とされています。
ストレスチェック義務化と勤怠管理
過労死ではなくても、身体的、精神的な不調によって休職する人が増えています。休職による欠員は他の社員に負担がかかり、健康状態、精神状態にも影響します。また、休職者への復職支援や職場改善は難しいことが少なくありません。その点からも予防が重要です。精神面では、従業員50名以上の事業所にストレスチェックの実施が義務づけられ、労働安全衛生法が2015年12月1日に改正・施行されました。
日常の勤怠管理をきちんと行うことで、長時間労働による疲労やストレスの蓄積を抑えることが可能です。労働時間やサービス残業の状況をチェックし、日々の出退勤管理を行うことは、メンタルヘルス不調の改善につながります。勤怠管理とストレスチェックを合わせて活用し、従業員のストレスを改善しましょう。
面接指導の重要性
勤怠管理の過重労働でも、従業員の申し出による医師の面接が企業に義務づけられていますが、ストレスチェックの結果でも、高ストレス者と判断されれば、希望による医師の面接指導が同様に義務づけられています。勤怠管理もストレスチェックの結果もまず数値として表されますが、その状態を改善するには、医師との面接、ダイレクトコミュニケーションが重要なのです。
まとめ
日本では、法制度としての労働条件は整いましたが、まだまだサービス残業や過重労働、そして管理・監督者の労働時間など、把握されにくい、表面化されにくい問題があります。企業の人事管理担当部門は、勤怠管理をより正確に行い、ストレスチェックと連動させることで、従業員のメンタルヘルスの状態を改善することが、求められているといえるでしょう。