「ノー残業デー」は社員の負担軽減効果なし!?

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ジャンル:労務管理

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長時間勤務による社員のストレスを軽減するために「ノー残業デー」を設けることが有効であると、以前の記事でお伝えしました。「毎週水曜日は定時退社を推奨」など、定期的なノー残業デーをすでに取り入れている企業も多いと思います。しかし、「制度は導入してみたものの、その効果を十分に実感できていない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか? ノー残業デーについては、上手に活用して効果を上げる企業がある一方で、残念ながら形骸化してしまっている企業も多いのが実態なのです。
今回は、ノー残業デーを効果的に運用するにはどうすれば良いかについて考えていきましょう。

ノー残業デーが社員と企業にもたらすメリット

ノー残業デーの運用について考える前に、まずはノー残業デーには本来どういったメリットがあるのかを押さえておきましょう。ノー残業デーは、効果的に運用されれば社員にも企業にもさまざまなメリットをもたらしてくれる制度なのです。社員側のメリットとしては、冒頭でもお伝えしたように残業が減ることで長時間労働による心身へのストレスが軽減されることが挙げられます。プライベートの時間が確保できることによってリフレッシュしやすくなり、結果、仕事に対する意欲の向上につながることも多いでしょう。また、「今日は定時で帰宅する」と目的を持つことで業務効率を高める工夫をしたり、メリハリのある仕事の仕方ができるようになったりと、意識改革や成長をもたらすきっかけにもなります。こうした社員側のメリットは、企業にとっては生産性を高めることにつながります。
また、残業の時間が減ることで、人件費や光熱費など残業によって生じていたコストの削減を期待できるのも、企業にとってのメリットとなるでしょう。

実際にはうまく運用できていない企業も多い

さまざまなメリットが期待できるノー残業デーですが、形骸化していたり、社員の負担軽減につながっていなかったりといった企業も多いようです。
うまく運用できていない例としては、以下のようなケースが多く見られます。

・ノー残業デーにも通常通り残業する社員が多い
・定時退社するが、実際には自宅に仕事を持ち帰っている(事実上のサービス残業化)
・ノー残業デーに定時退社するしわ寄せで、他の日の残業時間が増える
・部署間や社員個人間で利用に大きな差が生じている

こういった状況になっている場合、社員にとってノー残業デーは歓迎されません。
むしろ社員から「ありがた迷惑な制度」と受け止められてしまうことにもなりかねないでしょう。

ノー残業デーを効果的に運用するには?

では、ノー残業デーを形骸化させず、社員のリフレッシュや活性化、さらに業務効率アップにつなげるには、どういった点に気をつけるべきでしょうか。上記のうち、「ノー残業デーにも通常通り残業する社員が多い」というケースの場合、まずはノー残業デーの定時退社を社員共通の認識とするのが大切です。「管理職が率先して定時退社する」「定時で消灯する」など、習慣として浸透させるようにしましょう。定時退社することによる他の日や特定の個人、部署などへの「しわ寄せ」については、業務量や負担の偏りがないかを見直し、部門間や個人間の不均衡の是正に取り組んでいくことが大切です。あわせて、優先順位を意識した仕事への取り組み方の指導なども必要であれば行うべきでしょう。経営者の視点ではどうしても「残業代の削減」に注目しがちですが、ノー残業デーの目的はコスト削減だけではありません。残業が少なくなることで労働時間が短縮されれば、社員にとっても生産性の向上などメリットが大きいということを説明し、理解を得ることがノー残業デーの効果的な運用には欠かせないということも心に留めておきましょう。