各種調査で分かったストレスチェックの実施状況とは?

各種調査で分かったストレスチェックの実施状況とは?

ジャンル:ストレスチェック

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2015年12月1日に施行された「ストレスチェック制度」が開始して1年。ストレスチェックへの対応遅れも心配されていましたが、ストレスチェック義務化1年目(2015年12月~2016年11月)の受検状況について調べたところ、8割の従業員がストレスチェックを受検したことが分かりました。今後は、高ストレス者への対応や集団分析結果の活用が期待されています。

義務化1年目のストレスチェック実施状況

ピースマインド・イープ株式会社のプレスリリース(2016年9月16日)によると、ストレスチェック義務化初年度のストレスチェック受検率は平均78.7%で8割が受検しました。

しかし、団体により受検率に偏りもあるようです。約6割の団体では90%以上の従業員が受検しましたが、従業員の40~50%台の受検率となった団体も1割以上存在しています。業種別に実施状況をみると、受検率が高い業種は建設業や情報通信業の90%以上、受検率が低い業種は金融保険業や医療福祉業の約60%となりました。情報通信業はデスクワークの方も多く、パソコンやスマートフォンなどを利用して回答するよう従業員に呼びかけ受検率を高めたのかもしれません。一方で金融保険業は拠点も多く、お客様先の訪問が主の方もおり、紙での実施となり期限までに回収しきれなかったのかもしれません。

いずれにしても誰が回答したかを人事部門が知ることができないため、全従業員に受検させることは難しいようです。


中小企業の義務化への対応状況

ストレスチェックの義務化は常時50人以上の労働者を使用する事業場であり、義務化となった中小企業も数多くありました。ストレスチェック開始時は中小企業の対応の遅れが懸念されていましたが、初年度を終えてみると、500名以下の団体では受検率が90%を超え、5,001名以上の団体では受験率が70%を下回り、当初の懸念とは異なり、規模が大きい団体ほど従業員の受検率が低下する傾向となりました。

中小企業はスタートこそ遅れたものの、対応を開始してからは、社内報での周知や、朝礼等での顔を合わせる機会を活用し、取り組みを一気に進めたのではないかと推測できます。


高ストレス者と判定された方について

ストレスチェックにより高ストレス者と判定されると、医師の判断または本人からの面接指導の申出によって医師の面接指導が行われます。ストレスチェックの結果は個人情報保護の観点で配慮されているため、担当者である人事部門が本人の了承なく、個人の結果を知ることはできません。

つまり、誰が高ストレス者か人事部門では知りえないので、対処方法が分からないことが課題の1つとなっています。従業員自身は高ストレスであることに気付け、今後の改善のための参考にできるメリットはありますが、面接指導を申し出ることで会社に高ストレス者であることが知られてしまうことを懸念し、医師面談を希望しない人もおり、一次予防というストレスチェックの目的が達成できているか悩ましいところです。


ストレスチェックは職場改善に生かしてこそ

厚生労働省のホームページやパンフレットには、ストレスチェックの実施結果を集計して分析を行い、その結果を踏まえて職場の改善を行うと、記載されていますが、具体的な職場改善の方法は示されていません。そのため集団分析結果を衛生委員会などで共有し、企業や職場単位でどのように職場改善をするか検討する必要があります。人事部門が「ストレスチェックの実施ができた」や「社員のストレス状況を把握できた」で満足してしまわず、職場改善に取り組みましょう。時間はかかると思いますが、ストレスチェックは職場改善に活かしてこそ本来の目的が達成できるのです。