ストレスチェック義務化で期待される効果とは?

ストレスチェック義務化で期待される効果とは?

ジャンル:ストレスチェック

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平成27年12月から、従業員数が50人以上の企業では、従業員に対する「ストレスチェック」の実施が義務付けられます。
これは、ストレスチェックによって一人ひとりのメンタルヘルスの状態を把握し、個人のケアや職場環境の改善に取り組もうという試み。
しかし、これに不安を感じる方も少なくないはず。

「ストレス値が高いと診断されたら、会社から戦力外として見られてしまうのではないか……」

「昇給や昇進に悪影響が出てしまったらどうしよう」

などという不安は、多くの方が感じるのではないでしょうか。
そこで今回は、ストレスチェックを実施することによって得られる効果についてご紹介します。

■ストレスチェックが義務化された背景

皆さんは、日本が「自殺大国」と呼ばれていることをご存知でしょうか?
日本の年間自殺者数は、1998年から2010年まで3万人を超え続け、若干減少した2014年でも25,000人を超えています。また、近年では、精神疾患を抱える人の数も大幅に増加しています。
これには国も対策を講じないわけにはいかず、その対策として挙げられたのが企業における「従業員のメンタルヘルス管理」。
つまり、ストレスチェックは、自殺者や精神疾患にかかる人を減らす効果を狙って実施されるに至ったのです。

■「高ストレス者」と「うつ病患者」は似て非なるもの

「自殺者や精神疾患に悩む人を減らすためにストレスチェックが行われる」

と聞くと、どうしても

ストレスチェック=精神病患者を発見するもの」

という認識になってしまいがちです。しかし、実際はそうではありません。

高ストレス者」と「うつ病患者」との間には、明確な違いがあります。特定の診断基準に該当しない限り、うつ病と診断されることはありませんが、この基準は高ストレス者のそれとはまったくの別物。
とは言っても、高ストレス者が将来的にうつ病を発症するリスクが高いことは確かです。
健康な状態の人と比較すると、高ストレス者の1~2年以内のうつ病発症リスクは、約3倍になるとされています。言い換えれば、「うつ病予備軍」と言ったところでしょう。
しかし、この高ストレス者の段階でメンタルケアをしっかり行えば、精神疾患を予防することができます。それこそが、ストレスチェックの真の目的なのです。

■ストレスチェックによって職場改善に向けた動きがスムーズに

また、ストレスチェックを一斉に行い、明白な結果が出ることで、企業は職場改善に乗り出しやすくなります。ストレスは目には見えないものであるため、特定の人間や部署に負荷がかかりすぎていても、これまでは対応が遅れてしまったり、見逃してしまったりということがありました。
しかし、明確に比較できる結果が出ることで実態をきちんと把握することができ、それによって「何をすべきか」が見えてくるのです。これも、ストレスチェックに期待される効果のひとつと言えるでしょう。

■おわりに

ストレスチェックを有意義なものにするためには、企業側も労働者も、その目的を正しく認識することが必要です。そうでないと、せっかくチェックを実施しても実態を把握できず、まったくの無駄足になってしまうことも…。
労力をかけて行うものですから、会社全体で意味のあるものにしていきましょう。