集団分析の活用について
ジャンル:ストレスチェック
集団分析の活用について
ジャンル:ストレスチェック
ストレスチェックの主な目的と言えば、職場環境の改善。
職場環境を改善するには、ストレスチェックの結果を集団分析する必要があります。
では、事業者が集団分析を行う際には、どのようなポイントに注意するべきなのでしょうか?
■集団分析は努力義務
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によると、
・従業員一人ひとりによる「セルフケア」
・会社の管理職による「ラインケア」
・「事業所内の産業保健スタッフによるケア」
・社外の「専門機関によるケア」
上記の4つが、メンタルヘルスケアで重要となる「4つのケア」であると示されています。個人がストレスチェックを受けることが「セルフケア」であるとすれば、集団分析は「ラインケア」に該当するでしょう。
ストレスチェックの実施者(産業医、保健師など)は、ストレスチェック結果を「部」や「課」、「役職」などの単位ごとに集計し、その中でのストレスの特徴や傾向を事業者に伝えます。事業者は、その分析結果を踏まえて集団単位で必要な措置を講ずる必要があり、いずれも努力義務とされています。
■結果を事業者に提供する際に注意すべきポイント
集団分析の結果は個人のチェック結果と違い、労働者の同意がなくても事業者側は知ることができます。 ただし、集団が10人未満の場合には全員の同意がない限り、実施者は事業者に結果を提供してはいけません。これは、個人の特定を避けるためです。
また、企業内の「部」や「課」ごとに分析されるため、集団分析の結果が、その集団の管理者(部長や課長など)の評価につながってしまう恐れがあります。それを防ぐため、集団分析の結果は制限なく事業場内で共有できないとされています。
■企業は分析結果から措置を講じる
さて、事業者や衛生委員会は、集団分析の結果をもとに職場環境を改善する措置を講じます。以下に、改善方法の例を挙げてみましょう。
・組織や制度自体を見直す
・関連部署への対策をする
・管理監督者へ教育研修をする
具体的な措置については、事業者が主体となって考えることになります。そのため、単にストレスチェックの分析結果だけでなく、従業員の性格や体の健康状態なども考慮することが望ましいでしょう。
また、特に注意すべきは、集団の中に派遣社員など間接雇用者がいるケース。この場合は、派遣元企業とも連携しながら措置を講じる必要がありますので、派遣元企業ともしっかりと話し合うことが大切なポイントになります。
■おわりに
集団分析の後に講じる措置については、事業者側・従業員側の双方にメリットが生じるように、慎重に内容を決める必要があります。措置を考える際には、今回紹介した注意ポイントを押さえながら、方向性を間違えないようにしましょう。