メールで「休みます」をアリとする理由
ジャンル:その他
メールで「休みます」をアリとする理由
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携帯電話やパソコンの普及に伴い、仕事の欠勤連絡を「メール」で済ませる若者が増えてきている。電話が主な連絡手段であった世代から見ると、その非常識さに腹を立てることもあるだろう。
しかし、メールでの欠勤連絡が増えたのには、現代社会特有の理由があると考えられる。つまり、連絡手段としての手軽さや、「直接上司の声を聞きたくない」といった理由だけで、メールという連絡手段を選んでいるわけではないということだ。
では、彼らはどのような理由で、欠勤連絡をメールで済ませているのだろうか?
■なぜメールでは非常識と捉えられるのか?
まずは、なぜメールでの欠勤連絡が非常識と認識されるのかについて、その具体的な理由を把握しておこう。主な理由としては、
・欠勤連絡の確認が遅れる可能性がある
・企業側が欠勤理由を把握しづらい
上記の2点が挙げられる。
例えば、従業員がメールで欠勤連絡をすると、上司などがそのメールを確認しない限り、「休む」という意思が企業側に伝わらない。当然、これでは業務に支障を来す恐れがある上に、返信という手間を上司にかけさせてしまうことになる。
また、欠勤する従業員に対して、企業側は「正当な理由があるかどうか」を確認する必要があるだろう。しかし、メールは時間をかけて文面を作成することができ、スムーズな質疑応答が難しいため、その理由が真実であるかどうかを企業側は判断しづらい。そのような手軽な手段を欠勤連絡の方法として採用すると、「欠勤率の上昇」を招く恐れも考えられるだろう。
そのため、多くの企業には「欠勤連絡は電話で行う」といった、暗黙のルールが存在している。長いこと日本の社会に根付いていた暗黙のルールであるため、メールで欠勤連絡を済ませると、非常識と認識されてしまう可能性が高いのである。
■メールでの欠勤連絡が増えた理由
企業側には、上記のように「メールで欠勤連絡をされたくない理由」が存在しているが、企業側も従業員や就活生に対して、重要な連絡をメールで済ませることがある。その代表例とも言えるものが、「採用・不採用通知」だ。
現代社会においては、時間をかけて就職活動をしてきた学生に対して、採用・不採用通知をメールで送信する企業も多く見られる。そのため、中には「重要な連絡はメールで済ませるもの」と認識してしまう学生もいるのである。
つまり、彼らは「便利だから」という理由だけで、メールという連絡手段を選んでいるわけではない。彼らにとっては、欠勤連絡の手段としてメールを選ぶことこそ、「誠実な対応」にあたるのだ。
メールという連絡手段にも、電話にはないメリットがある。例えば、
・内容を何度も確認することができる
・伝えた情報を後から改変できない
・送信日時が記録として残る
などの点は、メールの大きなメリットと言えるだろう。これらのメリットを理解した上で、あえてメールという連絡手段を選んでいる場合には、その行動は必ずしも間違ったものとは言えない可能性がある。
■メールが効果的なケースもある
従業員が欠勤連絡をする場合に、メールが効果的に働く場面もある。
例えば、欠勤連絡を伝える上司が不在であったケースでは、すぐにメールを送信しておくことにより、欠勤の申し出をした日時が記録として残る。この作業をせずに、時間を置いてから電話で欠勤連絡を入れると、「連絡を伝えるのが遅い」と責められかねない。
ただし、そのようなケースでも、メールをした後に自分から電話を入れることが社会のマナーと言えるだろう。欠勤の意思を素早く共有し、欠勤理由に対する質問にスムーズに答えるには、メールという連絡手段では不十分な可能性が高いためである。
■おわりに
従業員がメールで欠勤連絡をしてきた場合には、メールという連絡手段を選んだ「理由」を把握することが大切になる。単なる認識齟齬や、上記のようにあえてメールを選んだケースでは、企業側が今後に向けて教育をすれば大きな問題には発展しないだろう。
しかし、中には「ストレス」が原因で欠勤し、その精神的な負担から電話という連絡手段を選べない従業員も存在する。そのような従業員をいち早く把握して職場環境を改善する手段、そして従業員自身も自分のストレスに気付く手段として、2015年12月から施行される「ストレスチェック制度」が注目を浴びているのである。