会社が従業員に対して、最初にいちばん気をつけること

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ジャンル:労務管理

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ストレスチェックを実施する際に、企業が最初に気を付けるべきこと。

「かかるコストや時間?」

「従業員に受検させる方法?」

確かに、ストレスチェックはより多くの従業員に受検してもらった方が、職場環境の適切な改善策を見つけやすくなりますし、かかるコストや時間も企業にとっては無視できない部分です。
しかし、最初に気を付けるべきことは、「ストレスチェックを実施する目的を正しく伝える」ことです。

■ストレスチェックの目的って何だろう?

「企業が従業員の精神状態を把握すること」。ストレスチェックの目的を、このように考えている方もいるでしょう。しかし、本来の目的は、高ストレス者をあぶり出すことや、精神面が弱い人を企業が把握することではありません。
ストレスチェックの主な目的は、「従業員の精神疾患を未然に防ぐこと」にあります。
精神疾患による経済損失は2兆7千億円。2013年には労災訴訟リスクが認定件数436件にものぼり、精神疾患で休職者(6ヶ月)が出ると、そのコストは「422万円」かかると言われています。また、その休職者の3年以内の退職率は4割を超えており、そこに充てられる人材の採用コストは180万円との試算もあります。
平成27年12月から実施されるストレスチェック制度は、このような状況を改善するために国が定めました。

■なぜ目的を正しく伝えることが大切なのか

労働者の中には、ストレスチェック制度についてあまり理解していない方も多く見られます。そのような現状を考慮すると「高ストレス者うつ病患者をあぶり出すために実施されているのでは…?」「ストレスチェックの結果が社内の評価につながるのでは…?」
このように、従業員がストレスチェックの目的を誤解してしまう可能性も十分に考えられます。目的を誤解されたままの状態でストレスチェックを実施すれば、

・積極的にストレスチェックを受験する従業員が減少する

衛生委員会や、企業のストレスチェック担当者への問い合わせが殺到する(担当者の負担が増大する)

などの弊害が生じるでしょう。もちろんこれでは、職場環境の適切な改善策を見つけることは難しいですし、ストレスチェックの実施自体が困難になってしまう恐れもあります。従業員の人数にもよりますが、ストレスチェックの目的を周知させるには、「4~5ヶ月」かかるとされています。そのため、企業は早い時期から、ストレスチェックの正しい目的や計画を伝えておくことが望ましいでしょう。具体的には、

・正しい目的や計画を記載した資料を配布する

・朝礼など、従業員全体に情報を共有できる場で詳細を伝える

などの方法があります。事業場の規模・従業員数・環境を考慮し、その事業所に合った方法で、従業員に情報を伝えるようにしましょう。

■おわりに

ストレスチェックを実施し、集団分析から職場の改善に取り組めば、労働環境は向上していきます。そのようなメリットを理解できれば、従業員も積極的にストレスチェックに取り組むでしょう。そのため、ストレスチェックの本来の目的とともに、従業員に生じるメリットを伝えることも考えてみましょう。